キャリアアップシステムは命綱/能力評価に応じ単価設定/土木鉄筋・北星会 (建設通信新聞 20200407 1面より抜粋)

土木鉄筋協同組合北星会(大港成人理事長)は、技能者の処遇改善に向け、建設キャリアアップシステムの能力評価に準じて、単価を設定する取り組みを試行的に開始した。現状の単価基準で元請けと契約済みの現場でモデル的に試行しているため、同会が考える処遇目標よりも低い設定単価としている。国の能力評価は4段階だが、同会は5段階(2級鉄筋施工技能士の資格などを持つ者や鉄筋工として10年以上の就業日数を有する技能者を能力評価に加える)とし、能力評価ごとに日額単価を設定し、技能者への支払い実現を後押ししている。 大港理事長は「技能者の適正な評価とそれに応じた処遇という、建設キャリアアップシステムの本来の目的を実現するため、現状では身を削ってでもスタートさせる必要があると考えた」と力を込める。
北星会は、人材不足への対応や情報共有を目的に土木分野の鉄筋業者らが集まる組織で、2008年から活動を開始している。専門工事業の地位向上を目指す建設キャリアアップシステムにより、適正な能力評価と処遇を実現するため、19年度に協同組合化した。
19年11月の 「CCUS登録調査」では、北星会の会員は31社、傘下の下請け協力会社を含めた技能者の総数(協力会社含む)は746人。このうち、経験を積み、登録鉄筋基幹技能者などの資格を保有する技能者は60人に上り、5段階の能力評価では 最高のレベル5(ゴールドカード)に該当する。この場合、将来的には処遇目標を年収1200万円(日額5万円)に設定し、元請けに見積もりを提出することを視野に入れている。
また、1級鉄筋施工技能士などのレベル4から、経験の浅いレベル1までの4段階についても、明確に評価基準を定め、それに応じた処遇目標を設定している。
現在は、元請けと契約済みのモデル現場での試行となるため、レベル5の設定単価は日額3万円とし、以下の4つの評価レベルも評価に応じて金額を設定し、試験的に運用している。毎月、就労日報を月末集計し、評価レベル設定単価の総額に会社経費(35%)と消費税(10%)を乗じて支払っている。この試行が会員に普及し、処遇改善が実感できる制度になればキャリアパスも明確になっていく。
大港理事長は建設キャリアアップシステムについて「普及がなかなか進まないとの見方もあるものの、より良い制度になるよう、小さい団体だが取り組んでいきたい」と、専門工事業にとっての命綱として、より良い方向性を追求していく方針だ。